僕が「演出」というものを強く意識し始めたのは、20歳の頃のことです。
当時、僕はすでに劇団に所属していて、毎週のように稽古をしていました。
その一方で、高校生だった後輩が友達とコピーバンドを組んでいて、「白濱先輩、よかったらライブ見に来てください」と誘われたのです。
長崎では今や聖地となっている、あのライブハウスで彼らの演奏を初めて聴きました。
正直、演奏はかなりよかった。
リズムも安定しているし、ボーカルも一生懸命。音楽そのものは十分に魅力があるのに……それでもどこか物足りない。
曲が終わるたびにMCを入れる。しかし、コピーしたバンドのしゃべりまでコピーしているような感じにあまり彼ららしさを感じられない。なんだろう、この違和感は。
その瞬間、僕はハッとしました。
「あれ?演奏が上手いだけでは、ステージって完成しないんだ」
僕はそのとき、バンドと劇団は全然違う世界だと思っていました。
演劇には台本や構成があり、稽古し、演出家がいて、照明や音響もつく。
ライブはもっと“自由で勢いのあるもの”というイメージでした。
でも、その後輩たちのステージを見て、ある共通点に気付いたのです。
「人に何かを伝える」
「目の前の観客を楽しませる」
この2つの軸で考えれば、バンドも劇団も本質は同じなんじゃないか、と。
ライブが終わったあと、僕は矢継ぎ早に質問してしまいました。
• 1曲目をなぜあの曲にしたのか
• 盛り上がる曲と聴かせる曲の並び
• 客席の気持ち・温度
• 自分たちが伝えたい言葉はなんだったのか
• ステージの“ひとつの物語”としてどう見せるか
そんな話をしていたら、後輩が驚いたように言いました。
「先輩、それって……演劇の演出みたいですね」
その言葉で自分でも気づきました。
僕が劇団で学んできた“演出の視点”を、無意識にバンドのステージに当てはめていたんだ、と。
次のライブで彼らは少しだけ工夫を加えていました。
立ち位置を変えてみたり、曲順を「流れ」で考えたり、MCの役割やメッセージにもこだわりが感じられました。
すると、同じ演奏力なのにステージ全体の印象がぐっと変わったような気がしました。(←あくまでも僕が受けた印象です)
その光景を見たとき、胸の奥でカチッと何かがつながりました。
「ああ、演出ってジャンルを超えるんだ」
演出とは「技術」と「体験」をつなぐもの
それ以来、僕は
技術=演奏力・芝居力
体験=観客が感じる時間の流れ
この2つは似ているようで違うものだと考えるようになりました。
そして、それらをつないでいく作業こそが「演出」だと。
PADiNで伝えたいこと
PADiNで僕がやりたいのは、まさにその“演出の視点”を、誰もが持てるようにサポートすることです。
• 表現者として活動している人
• 授業やプレゼンで人前に立つ人
• チームの空気をつくる立場にある人
どんな場面でも、「どう伝わるか」を考えるだけで、発信の質は大きく変わります。
僕が後輩のライブで感じた「惜しいな」という気持ち。
それを少しでも魅力的なものにアップさせるために、PADiNという場をつくりました。
自己表現に演出というスパイスを。
これから、そんな内容をブログで少しずつ書いていこうと思います。

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